- 自分のビジネスを持ちたい!
- ビジネスで心がけることは?
- 人生これからどう生きていけばいい?
この記事はこれらのお悩みを解決します!
あなたは「副業や事業を始めたい!」と思っていませんか?
近年副業ブームであり、個人でビジネスを始める人がかなり増えています。
中には副業が軌道に乗り、そのまま脱サラし独立する人もいるほどです。
しかし残念なことに「自分が得すればその他はどうでもいい」という利己的な考えのもと、ビジネスを行う人が多いのもまた事実です。
そこで本記事では資本主義の父とも呼ばれる渋沢栄一の『論語と算盤』の概要やポイント、読んだ感想などをレビューします。
この記事を読めばあなたは、今後どのような心意気で人生歩んでいけばいいのかがわかります。
- 人間としての正しい生き方がわかる
- 商売の心得がわかる
- 今後の人生の指標が見つかる
目次
著者のプロフィール
まず始めに、著者である渋沢栄一氏のプロフィールを簡単にご紹介します。
「渋沢栄一」(しぶさわえいいち)は、「日本資本主義の父」や「実業界の父」と称される実業家です。 日本初の銀行を設立しただけではなく、現代も世界で認められる日本企業の設立にも数多く携わったことで知られています。
出典元:名古屋刀剣ワールド
新一万円札の肖像でもある渋沢栄一ですが、
と思っている人の方が多いでしょう。
私自身、渋沢栄一について歴史の授業で深く習った記憶はなく、どのような偉業を成し遂げた人物か全く知りませんでした。
しかし渋沢栄一について知るにつれ「なぜ今までこの人のことを知らなかったのか」とかなり後悔しました。
もしあなたが今後、副業や事業など自分のビジネスを持とうと考えているのであれば、渋沢栄一の考えや教えは必ず知っておきましょう。
なぜなら彼の教えには、ビジネスを上手く行うヒントがたくさんあるからです。
本の概要まとめ
それでは早速、本の概要を簡単に紹介していきます。
ここでは重要なポイントを4つに絞って、解説していきます。
- 『論語と算盤』の意味
- 智・情・意
- 経済活動における道徳心
- 変わらない人間の本質
それでは、一つずつご説明していきます。
①『論語と算盤』の意味
出典元:NHKオンデマンド
そもそも、本書のタイトルでもある『論語と算盤』とは、どのような意味なのでしょうか?
それを知るために、まずはそれぞれがどのようなものかを見てみましょう。
- 論語:孔子について書かれた道徳の手本とされる中国の書物
- 算盤(そろばん):お金を計算する道具、経済活動の象徴
まず『論語』とは、孔子さんのありがたい発言を弟子たちがまとめた、道徳のお手本となる書物です。
一方で『算盤』は、あなたもご存知のソロバン、現代風に言うと『電卓』でしょうか。
一般的には『道徳』と『経済活動』は相反するイメージであり、私たち日本人には「利益を追求することは悪いこと」という印象があります。
しかし渋沢は「論語(道徳)とソロバン(経済活動)は、とてもかけ離れているように見えて、実はとても近いものである」と説きます。
これを渋沢は『士魂商才』【武士の精神(論語)と商人の才覚(算盤)とを併せ持つこと】と表現しています。
世の中で自立するためには武士のような精神が必要ですが、精神だけに偏っていては経済の面がおざなりとなってしまいます。
そこで『士魂』とともに『商才』、つまり経済活動の才能も併せ持つ必要があるということです。
武士の精神、つまり『士魂』はもちろん論語によって養えますが、実は『商才』の方も論語によって養えると渋沢は言います。
道徳を扱った書物と「商才」とは何の関係もないようであるけれども、「商才」というのも、もともと道徳を根底としている。不道徳やうそ、外面ばかりで中身のない「商才」など、決して本当の「商才」ではない。そんなのはせいぜい、つまらない才能や、頭がちょっと回る程度でしかないのだ。
出典元:論語と算盤
渋沢はこのように『商才』は道徳と離れられないものであるとしています。
つまり、道徳の書である論語によって『士魂』だけではなく『商才』をも養えるということです。
実は「論語が最強である」という事実は、日本人なら誰もが知っている歴史的人物が証明しています。
その人物こそが、約200年もの徳川幕府を築いた徳川家康です。
出典元:nippon.com
家康の遺訓が書かれた『神君遺訓』という書の中には、例えば以下のような言葉があります。
- 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし
- 己を責めて人を責めるな
- 及ばざるは過ぎたるより勝れり
- 堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え 等
実はこれらの遺訓は全て、論語の教えから来ているものなのです。
家康が学んでいたとなると、論語には一国をまとめ上げるほどの力があるという考え方もできます。
そこで渋沢は「今こそ人間としての、そして経済活動としての道徳心を論語で養おうぜ!」と言っているわけです。
②智・情・意
ここからは、本書の具体的内容に入っていきます。
まず最初にご紹介したいのが『智・情・意』という概念です。
渋沢は、人が社会で生きていくには常識が必要であり、その常識とは以下のようなものであると説いています。
まず、何かをするときに極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、プラス面とマイナス面に敏感で、言葉や行動が全て中庸にかなうものこそ、常識なのだ。
出典元:論語と算盤
この常識こそが『智・情・意(知恵・情愛・意志)』の3つそれぞれがバランスを保って、均等に成長したもののことを指します。
わかりやすくいうと「一般的な人情に通じ、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力」です。
1.智
まずは『智』つまり知恵ですが、知恵が十分に備わっていないと物事を見分ける能力が不足します。
つまり物事の善悪や、プラス面やマイナス面を見極められないということです。
どれだけ博識な人でも、よいことをよいと見抜けないようじゃ学問は宝の持ち腐れとなってしまいます。
2.情
しかし『智』ばかりでなく、そこに『情』がうまく入らないと『智』の力は十分に発揮されません。
例えば『智』ばかり膨れ上がって情愛の薄い人は、自分の利益のために他人を突き飛ばしても気にしない、という風になってしまいます。
つまり『情』は一種の緩和剤であり、何事にも『情』が加わることでバランスを保てるということです。
3.意
しかし『情』にも欠点があり、瞬間的に湧き上がりやすく、悪い方向に流されてしまうことがあります。
そこで動きやすい感情を「強い意志」によってコントロールする必要性が生じるのです。
とは言え意志ばかり強くても単なる頑固者、強情者となってしまうため、『智』と『情』を含めた三者のバランスが重要となります。
まとめると「強い意志のうえに、聡明な知恵を持ち、これを情愛で調整する」ということです。
また、これら3つをさらに大きくしていくことにより、初めて完全な常識となると渋沢は言います。
「意志を強く持て」とよく言いますが、そこに知恵と情愛がバランスよく配合されて初めて、社会で通用する人格を形成できるのです。
③経済活動における道徳心
ビジネスの一番の目的はもちろん「利益を上げること」ですが、誰もが自分の利益だけを追い求めていてはいけません。
ここで渋沢は経済活動について、以下のように解いています。
本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない。
出典元:論語と算盤
渋沢は本書の大部分で『経済活動の道徳』を説いていますが、決して「利益を少なくしろ」と言っているわけではありません。
むしろ「自分の利益がほしいという気持ちで働くのが、世間一般の当たり前の姿である」と言っています。
つまり利益を得ようとすることと、社会正義のための道徳にのっとることをバランスよく保つことが、もっとも重要であるということです。
言い換えると「利益をあげたい」という欲望をビジネスの動力源とする一方で、その欲望を暴走させず、社会の基本的な道徳心で制しましょう、となります。
この『欲望』と『道徳心』をピッタリとくっつけて、バランスよく保ち続けることを忘れないようにしましょう。
ところで、本記事の序盤に「我々日本人には利益を追求することは悪いという印象がある」と述べました。
ではそもそも、なぜこのようなイメージが我々日本人に根付いたのでしょうか?
その根源を辿っていくと、実は江戸時代の身分制度に原因があります。
江戸時代には士農工商、つまり武家、農民、職人、商人と順位付けた社会階級がありました。
身分の高い武士は高い教育を受け、社会的な道徳心を身につけるのが一般的でした。
一方で、一番身分の低い商人は教育を受けられる機会がないため「道徳心がなく利益ばかりを求める卑しい者」というイメージがついてしまったのです。
これらの経緯をまとめると、以下のようになります。
- 武士:道徳心はあるが経済活動に精通していない
- 商人:商売はできるが道徳心にかけている
このように封建時代には、武士道と経済活動とはお互い相容れないように解釈されてきました。
しかし渋沢が今まで言ってきたように士魂と商才、つまり論語と算盤はそもそも互いにバランスよく両立されるべきものなのです。
このような原因によって、渋沢は「日本の商工業者は道徳という考え方を無視して、一時の利益に走ってしまう傾向がある」と言います。
まっとうでない行いで私利私欲を満たそうとしたり、権勢に媚びへつらって自分が出世しようとするのは、人の踏むべき道を無視したものでしかない。それでは、権勢や地位を長く維持できるわけもないのだ。
出典元:論語と算盤
今や「武士道=実業道」であり、社会的な道徳と経済活動の道徳の両面を備えてはじめて、意義ある生活・価値ある生活を送れるようになるのです。
④変わらない人間の本質
本書がおもしろい理由の1つに、変わらない人間の本質を的確に捉えている点が挙げられます。
明治時代以降、各世代の人々が自分の仕事に一生懸命打ち込んできました。
本書を読んでみると、令和のサラリーマンも明治の商人も、本質的には何も変わっていないことがわかります。
それは裏を返せば、100年前に書かれた本の教えは現代でも十分通用するということです。
1.仕事への取り組み方
渋沢は「大いなる楽しみと喜びの気持ちをもって事業に携わっていくなら、飽きたり嫌になるような苦痛を感じるはずがない」と言います。
一方で「仕事に楽しさを感じることができなければ、イヤイヤながら仕事をし、退屈を感じたり不満覚えたりしてしまう」とも言います。
また渋沢は「前者は精神がハツラツとして喜びを言動に事業を進められるが、後者は鬱々として退屈から疲れを感じ、やがてその身を滅ぼしてしまう」と言います。
現代のうつ病やストレス社会などの背景は、約100年前からその予兆が既にあったことがわかります。
さらに渋沢は、以下のようにも言っています。
よく世間の人々は口癖のように運の良し悪しについて語っている。
-中略-
しかし、たとえ事前に定まっていたとしても、自分で努力してその運を開拓していかないと、けっしてこれを掴むことはできないのだ。
「愉快に仕事をすること」と、正反対の「大きな災厄を招いてしまうこと」-この二つはただ単に天から恵まれる運だけで決まることではあるまい。
出典元:論語と算盤
つまり「俺は運が悪い」と諦めるのではなく、自分がハツラツと喜びを感じられる環境に身を置くための努力をしろということです。
現代では『親ガチャ』など、まさに運にまつわる用語が存在しますが、約100年前にもそのように考える人は多かったということですね。
人間は現状維持したがる性質を持つため、自然と保守に傾いてしまいがちです。
しかしあまりにもリスクばかりを気にしてしまうと、決断がつかず硬直していまい、進歩や発展を邪魔する傾向が生まれてしまいます。
渋沢はこのような保守に傾く状況を「個人においても、国家においても、これはとても憂うべき自体である」と言います。
個人の向上を助けたり、国家を勢いに乗せるためには、全力を尽くして新しいことに取り組む勇ましい心が必要なのだ。
出典元:論語と算盤
渋沢の思想の特徴として、国の発展を第一に考えていますが、その背景には個人の成長が必須であることを述べています。
ハツラツとしたチャレンジ精神を養い、それを発揮するためには、本当の意味での自立した人となる必要があります。
もちろん何でもかんでも手を出せというわけではなく、細心の注意と大胆な気力の両方を併せ持つことが大切です。
細心さと大胆さの両面を兼ね備え、ハツラツとした活動を行うことで、大事業をも成し遂げられる人間になれるのです。
2.成功と失敗
さらに渋沢はもう一つ、面白い言葉を残しています。
成功や失敗というのは、結局、心を込めて努力した人の身体に残るカスのようなものだ。
出典元:論語と算盤
渋沢が言うに、明治時代の人々は成功とか失敗とか言うことだけに重きをおいて、それよりも大事な『天地の道理』を見ていないとのこと。
つまり彼らは物事の本質はさておき、カスのような金銭や財宝、地位や名誉の獲得を目標としてしまっている傾向があるというのです。
とにかく人は、誠実にひたすら努力し、自分の運命を開いていくのがよい。
もしそれで失敗したら、「自分の智力が及ばなかったため」とあきらめることだ。
逆に成功したなら「知恵がうまく活かせた」と思えばよい。
出典元:論語と算盤
明治時代に限らず、現代人もなにかと成功や失敗に囚われがちですが、渋沢は「たとえ失敗しても勉強し続けていれば、いつかはまた幸運に恵まれるときがくる。」と言います。
我々日本人は、成功や失敗の良し悪しを議論するよりも、まずは誠実に努力をしなければいけません。
渋沢の言うように、一時の成功や失敗は長い人生におけるカスのようなものです。
そのようなカスに憧れて目の前の成功や失敗にしか目がいかないようじゃ、個人の発展、および国家の成長が思いやられます。
私たちはそのような浅はかな考えを一掃し、社会を生きる上で中身のある生活を送るべきです。
最後に渋沢の教えをもう一つ参照して、内容のまとめに入ろうと思います。
成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。
出典元:論語と算盤
あなたに役立つポイント
続いては、本書の内容を実際に役立てるポイントについてご紹介します。
ぜひ、あなたの今後の人生にお役立てください。
①読む前の課題
冒頭にも書きましたが、この不況の時代、自らのビジネスを始める人がどんどん増えています。
しかし「お金を稼げれば他はどうでもいい」「成功にこそ価値がある」などの、野暮な想いでビジネスに取り組む人が少なくありません。
副業や事業に取り組む人が増えるのは嬉しいことですが、その取り組み方を間違った方向に進めてしまうと、個人の成長、および国の発展には確実に繋がりません。
本書は渋沢栄一の約100年前の発言をまとめたものですが、不況の現代と商業が発展途上の明治時代には「なんとかせねば」と国民が必死になっている共通点があります。
歴史は繰り返すものであり、私たちは今まさに100年前の教えに習い、今後の時代を生き抜く力を養う必要があります。
②読んで気づくこと
本記事にもありましたが、約100年前の内容とは思えないほど、人間の本質というものは変わっていません。
例えば「自分の利益を最優先とする非道徳的な考え方」などは、今現在も大いに存在しています。
そこで渋沢は「道徳心(論語)と利益(算盤)をバランスよく組み合わせていくべきだ」と言っています。
これは十分現代でも通用する考え方であり、人生の指標、またビジネスをする人であれば特に心がけていきたいものです。
成功ばかりを追い求めず、常に努力を怠らない、何かに失敗した時は「自分の努力不足である」と素直に認める。
このような心意気を持つことで、今後の人生を生き抜くヒントを与えてくれる、背筋が伸びる思いのする一冊です。
③今後の行動
あなたが本書を読んで、今後すぐに実行に移せることは以下の通りです。
- 『論語』を読み道徳心を養う
- 稼ぎたい欲望を道徳心で制す
- 『親ガチャ』など運のせいにしない
- 細心さと大胆さを持ちチャレンジする
- 成功にこだわらず、努力し続ける
私が初めて本書を読んだとき「ほんとに100年前に書かれた内容か?」と思ったほど、現代と共通する内容に驚きました。
とかく現代人は、道徳心が養われていません。(私もまだ不十分ですが)
元来、日本では道徳心を育む教育がメインでしたが、近代文化の発展によってその傾向は徐々に薄れていきました。
今では知恵を詰め込むだけの教育により、これといった目的もなく、学歴や大企業への入社などの見栄や虚栄心が目的となってしまっています。
SNSでの実績自慢やマウントの取り合い、自らを成功者と認めさせるための中身が空っぽな数々の発言。
発言者だけならまだしも、そのような空虚な内容を真に受けて、彼らを成功者と勘違いし尊敬してしまう愚かな人たち。
これらは全て知恵の無さ、意志の弱さ、そして努力を継続できない国民性の弱体化が原因だと考えます。
今こそ私たち日本人の価値観や人生観、今後の人生の歩み方をもう一度見直してみましょう。
本書は、そんな気づきを与えてくれる一冊です。
当ブログでは、これからビジネスを始めたい、挑戦していきたいと思っている方を応援しています。
ぜひ共に、いい人生を歩んでいきましょう。
まとめ
今回紹介した内容を抑えれば『論語と算盤』の概要をつかめます。
本記事の内容をもう一度まとめてみましょう。
- 論語(道徳)と算盤(経済活動)を両立させる
- 強い意志、聡明な知恵、深い情愛を持つ
- 欲望と道徳心をバランスよく保ち続ける
- 成功にこだわらず、努力し続ける